「奇跡のシェフ」と呼ばれる神尾哲男氏は、余命数ヶ月という次元ではなく、
「死んでいてもおかしくない」という状態のがんが発見されてから「14年間」生き抜き、
2017年5月、この本が出版された一年後に逝去されましたが、
その死因は、がんとは直接関係ないもので、
医師のバッチ博士が「余命わずか」宣告からバッチフラワーを発見した経緯と似てますが、
フランス料理人だった神尾哲男氏は、最初の3年間は放射線治療など「スタンダード」な治療を受けたそうです。
<即入院、手術へ。放射線治療も>
当時の私は病院に関する知識もなく、藁にもすがる思いで、勧められるままに治療を受けました。
ところが、薬がだんだん効かなくなってくると、強い薬、さらに強い薬の繰り返し。この間、めまいや立ちくらみ、食欲不振、発熱などの副作用に見舞われました。薬を飲んでいれば数値は安定します。飲まずにいると途端に症状が悪化します。次第に「薬って何なんだ?一体いつまで続ければいいんだ?」と疑問を抱くようになりました。ついには強い薬も効かなくなり、抗がん剤治療を勧められる段階に至りました。
<病院との決別。それがすべての始まりだった。>
このころには抗がん剤に関する勉強をしていたので、がんを治す薬ではないという知識はありました。抗がん剤は「遺伝子合成阻害剤」、良くなるはずがありません。私は治療を断り、医者と決別しました。
こうなったら自分で何とかするしかない。自分の命は自分で考え、守る!原点に立ち返れ。自分は料理人だ。だったら「食」でどうにかしよう。この時から、私は自分の体を使って、「食」という手段で、生きるための「実験」を始めたのです。
治療をする医師も、「美味しい料理」で他者を喜ばせる料理人も、
「奉仕(サービス)の心」あってこそ一流であり、
優れたシェフには「奉仕の心」と「科学的思考」を兼ね合わせてる方が多いですが、
「医者の不養生」と同じで、
自分のカラダには案外無頓着だったりするようで、
神尾哲男氏もご自身が病氣になったことではじめて、
料理人の「感性と観察力」を、自分に向けるようになります。
<自らの体で、さまざま食事療法を実践>
退院後にすぐ始めたのがマクロビオティック。玄米菜食です。2年ほど続けた結果、代謝が良くなり、体内が浄化され、食べ物の味の違いがよくわかるようになりました。特に化学調味料や食品添加物には敏感になり、ファーストフードなどを食べると途端に胃が重たくなって体調を崩すようになりました。妻も同じ食生活をしてましたが、基礎体温が上がり、風邪を引きにくくなりました。失敗例も多々あります。がんに効く、と知人に勧められて謎のキノコを食べたり、健康に良いとされる高額な水も飲んだりしました。カルシウムやプロポリス、ラクトフェリン、ビルベリーなどのサプリメントも約20種類は試したでしょうか。効果はほとんどありませんでした。
人工物では体はよくならない、人間の体は食べた物でできているのだ、ということを見をもって思い知らされました。
料理人や美容師さん、外科医など、
「切る」職人さんには、ある種の「潔さ」が必須ですが、
そんな神尾哲男氏が身を呈して実験した結果、
「食品表示」を読み取ることが、
「病氣にならないための防衛策につながる」とし、
特に調味料は、重要な要素だと断言します。
戦前のものづくりに注目してください。冷蔵庫のない時代、酢や味噌などは保存食に使われていました。素晴らしい菌の力があるからです。ところが酸化防止や長期保存などを目的に添加物が使用され、それが菌の発酵を止めることになり、本来の力が失われてしまっているのです。
本来の製法で地道に、真面目に、こんなにおいしい調味料を作っている商品があるということが、少しでも伝われば幸いです。
で、巻末にオススメ調味料が掲載されていて、
例えば「みりん」ならこんな感じで、
「食材は一般的なスーパーで購入してるけど、調味料にはこだわる」神尾氏が実践した、
「がんで死なない10の食習慣」は次の通りです。
【1】調味料(醤油、みりん、塩、味噌など)は“本物”を使う
【2】食品添加物を極力避ける
【3】大量の農薬や化学肥料で育った野菜、遺伝子組み換え食品を避ける
【4】糖分を取らない
【5】1日2食、腹六分目までを心がける
【6】体を冷やす食べ物・飲み物は厳禁
【7】食材の栄養素を壊さない調理法で(例:味噌汁はぬるめの60度)
【8】体を弱アルカリ性に保つ
【9】きちんとだしを取る
【10】雑食であれ。たまには外食もよし
つまり、農薬や添加物には気をつけつつも、
「○○がダメ・・」とかじゃなく、
”全ては「雑食」という名のバランスのもとに成り立っている”
ということが大切で、ごく普通の「日本食」を勧めてます。
基本的に、主食は玄米。玄米はビタミン・ミネラル・食物繊維などを豊富に含んだ栄養の塊、生命体そのものです。また、食品添加物や農薬を排出してくれるという素晴らしい効果もあるといわれています。・・
しかし、マクロビオティックで足りないと感じたのは、肉や魚、卵など動物性のタンパク質や、脂質です。体を維持するのに大事な要素です。
結局、今やっているのは、何でも食べるということ。雑食です。何か特殊な食材を食べているとか、変わったことはしていません。昔の日本の食事方法です。ただし、大食はいけません。病氣の大敵です。腹八分目、いや六分目くらいでもいいでしょう。
洋食に油はつきもので、「酸化した油」は万病を招きますので、
ウチが定期購入しているオリーブオイルも「お勧めリスト」に入ってましたが、
「玄米菜食」ではなく、「玄米雑食」なら実践的で、
お気に入りのマイ「料理本」になりそうですが、
本物調味料を使った「プロの料理」はごくシンプルで、
そのシンプルさには、神尾氏の遺言メッセージが凝縮されてます。
<これを伝えなきゃ死ねません。>
私は、医師や病氣を克服した人が書いた健康本は読みません。
病氣を治すのは自分です。まず、自分で自分の病氣を知ること。そして、自分で勉強して自分で治そうという気持ちを持つこと。これが何より大切です。その意志がないと、効果的な食事療法も、付け焼き刃的な治療の一つになってしまう、「効く・効かない」と安易に言って、すぐにやめてしまうでしょう。
そしてもう一つ、大切なことがあります。がん細胞は味方であるということ。ウィルスなどの外部の攻撃から、私たちの身を守ってくれる「最終兵器」だということです。
悪性に変えているのは、自分自身、酸化した油を使った料理ばかりを食べたり、冷たいものを食べて体を冷やしてしまったり、そんな食生活は見直さなければいけません。・・かといってストイックになり過ぎないでください。少しずつ変えていければいい。マイナス1000の体だったらマイナス900に戻すところから始めよう。生きている限り、ゼロにはならないのだから。続けていれば、気付いたときにはマイナス600くらいになっていて、病氣になるタイミングが遅くなる。少しずつ変えていくことが、未病に、長生きにつながるのです。
体験者ならではの、説得力あるお言葉ですが、
神尾氏はがん体験を通して、「マスター性」を学んだ方なのかもしれません。
<奉仕>
マスターだけが、本当に奉仕することができます。それ以外の人はたちは使用人にすぎません。
本当の奉仕はマスターにしかできません。あなたはどれだけの生涯を使用人として過ごしてきましたか?どれだけの生涯で催眠の魔術にかけられ、本当はやりたくないことをやってきましたか?あなたは誰かの使用人でした。あなたは上司、会社、両親、あなたのアスペクト、宗教、信念の使用人だったかもしれません。あなたは長い間、使用人でした。
使用人はアジェンダ(課題)を持っています。彼らはお金や安心感のような何かが欲しいか、または自らの「アイ・アム」を理解できなくさせる信念体系のようなものを持っているのかどちらかです。
マスターは自らの「アイ・アム」性を理解しています。自分もまた神であり、すべてが、あらゆるものが内側から来るものだということを。本物のマスターは、外側のものは何ひとつ必要ありませんが、外側のエネルギーのすべてと遊ぶことができます。そのすべてを楽しむことができます。しかし、アジェンダ、欠乏、欲求が、まったくありません。本当に変化を起したい人間に奉仕することができるのです。
奉仕するマスターはまったくアジェンダを持たないので、思いやりに満ちた最善の奉仕を提供することができます。奉仕することで良い気分になる必要はありません。奉仕することに自分には価値があると感じる必要はありません。それは彼らにただ、喜びを与えます。それはマスターに、自らの旅を、その山や谷、試練を思い出させます。神の別の部分が進化し、拡張し、喜びを発見し、自らを発見するのを知っているので、奉仕にあたることはマスターに大きな喜びを与えます。
あなたの多くが他人を助けようとして、奴隷状態にありました。そこに何かアジェンダを混ぜ合わせ、他人の前で四つん這いになり、腰をかがめていれば、どうにかネバーランド、天国への道が手に入るのではないかと感じていたわけです。いま私がこれを持ち出したのはなぜかといえば、確かにあなたはマスター性に入りつつあるからです。
こちらの書からの抜粋ですが、
「アジェンダ(課題)」なしで奉仕するのがマスターであり、
「自然治癒力とマスター性」は大きく関係しているようです。
あなたの肉体を愛し、信頼してください。それは奉仕するためにあります。身体は健康でバランスが取れているのが自然な状態です。その自然な状態へ戻してあげてください。
内側にある、この小さなエネルギーの鼓動をすべて、自然な状態に戻させてください。それは何をすればよいか知っています。あなたは何をすればよいか知っています。
神尾氏の、
”全ては「雑食」という名のバランスのもとに成り立っている”
とも共通してますが、
新しいエネルギーがどんどん増大中の今、
「これまでの実践が少しでも役立てれば」
という思いで書かれた「奇跡のシェフ」は、実践的かつスピリチュアルな「料理本」でした!
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