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向田邦子と「パンとスープとネコ日和」に学ぶ「優しい社会」の盲点

向田邦子と「パンとスープとネコ日和」に学ぶ「優しい社会」の盲点

戦後の日本は、物質的には豊かになったけど、「心が貧しくなった」ように言われる風潮がありますが、

戦後直後に幼少期を送った知人は、Facebookにこんな投稿をしてました。

The New Year ended yesterday here. It was mostly fine in these 10 days. The Small New Year will take place on Monday 15 next week. I wrote below how hard it was for me to pass the childhood winters due to poor nutrition and clothing.

今年のお正月もあっという間に過ぎました。天気はおおむね良かったですね。来週15日にどんど焼きがあって正月飾りや書初めを燃やして、いよいよ春を待つことになります。私は子供の頃から冬が苦手でした。甲府盆地はとにかく空っ風が強く、あかぎれ、ひびなどがひどく、とくに口の両わきが切れて辛かったです。栄養不足が原因でした。着るものも木綿のジャンパー一枚。いまは暖房もある、車もある、ダウンジャケット、ヒートテック、食べるものはステーキ、刺身、栄養ドリンクと、王侯貴族のような生活をしています。カメラにパソコン、アマゾンドットコム。生活が豊かにそして便利になるにつれ長生きになり、この辺の人々も、おそらく日本中の人々が余暇を楽しめるようになり、その結果としてみなさん優しくなりました。私が子供のころは大人がなんかみんな不機嫌で下を向いて歩いていました。郵便局や各種役所の窓口もとても親切になりました。物質的に豊かにならなければ精神も豊かになりません。

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理系で技術系の翻訳家の方ですが、「衣食足りて礼節を知る」という言葉がピッタリなご意見で、

日本人の健康寿命が、本当に伸びていると言えるがどうかはともかくとして、

「今あるもの」を否定せず、感謝する暮らし方には「親切」が廻ってくるようです。

さて、戦前に幼少期を送り、生きていれば今年89歳になる向田邦子氏は、
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わりと豊かだった戦前の暮らしと、モノのない終戦直後、そして急成長した戦後を駆け抜けた方ですが、

その「おしゃれの流儀」には、豊かになった「今」だからこそ、ヒントにしたいエッセンスが一杯です。

<いいもの好き>

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私は子供の頃から、ぜいたくで虚栄心の強い子供でした。いいもの好きで、ないものねだりのところもありました。
ほどほどで満足するということがなく、
もっと探せば、もっといいものが手に入るのではないか、とキョロキョロしているところがありました。
玩具でもセーターでも、数は少なくてもいいから、いいものをとねだって、子供のくせに生意気をいう、と大人たちのひんしゅくを買ったのを憶えています。

かごしま近代文学館に所蔵されている、向田邦子さんの「着た服」がたくさん載っているコチラの書からの抜粋ですが、

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かごしま近代文学館では2018年02月26日まで企画展「向田邦子と日々の器」が開催とのことで、

向田さんは、「器狂い」と自称するほどの器好きで、
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選ぶ基準は、「どこどこのモノだから価値がある・・」ではなく、タダ、ピーンとくる「好き」なモノであり、

それは洋服選びでも同じだったようです。
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<自分に似合うもの>

みんながGパンをはこうと、ひげをのばそうと、
つけまつげをつけようと、自分には似合わない
ものは絶対に拒否するーーそしてだんだん見ているうちに美しいなと感じさせるひとを、
私はいま探しているのです。

流行に振り回されるのでも、ブランド志向でもなかった向田さんは、15、6歳の頃から、料理も洋服も自分で作っていた人で、お料理の腕も有名ですが、

「作る」ということの楽しみ、苦労を知ってる人は、他者の労力にも出費を惜しみません。

三ヶ月間のサラリーをたった一枚のアメリカ製の水着に替えたのもこの頃です。もちろんもともと安いサラリーですから、お茶ものまず、お弁当をブラ下げて通い、洋服の新調もすべてあきらめてのぜいたくでした。

アメリカの雑誌でみた黒い、何の飾りもない競技用のエラスチック製のワンピースの水着で、真っ青な海で泳ぎたい。この欲望をかなえるための、人からみればバカバカしい三ヶ月の貧乏暮らしは、少しも苦にならず、むしろ、爽やかだったことを覚えています。

「潔い」という言葉がぴったりな、向田さんの生き方を象徴するエピソードですが、

向田さんは何と言っても「作家」であり、言葉で「作る」世界を知っていた方で、
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また、大のネコ好き・・・でもあり、
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1954年生まれの群ようこ氏原作のドラマ、「パンとスープとネコ日和」の、

編集者から料理人となった主人公は、まるで向田さんをモデルにしたかのようで、

モノがたくさんある、「衣食足りて礼節を知る」現代社会は、

確かに「親切で優しい」人が増えたのかもしれないけれども、

「自分に似合うもの」が分らなくて、ウロウロしちゃう人が多いという現代社会の弱点を、ほっこりと表現してました。
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たった一枚の水着のために・・という、
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欲望をかなえるための労力を惜しまなかった向田さんは、

自分にとっての「ほんとの豊かさ」とは、何事も「経験」しないと分からないという、

この地球での修行の真髄を知っていた方であり、

51年の短い生涯を、一生懸命に仕事をし、生活を楽しんだ向田さんの、アクティブな生き方に乾杯です!


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コメント & トラックバック

  • コメント ( 2 )
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  1. 向田さん本当に気品があって美しいです。
    黒ばかり着られていたとのことで、
    でも黒って難しくですよね。
    素材の善し悪しも出ますし、
    群ようこさんのこのシリーズも好きなので
    なんだか嬉しくてお邪魔してしまいました。
    失礼致しました。

    • くびさん、再びありがとうございます。向田さんの残してくれた日本女性の強さと優しさ、面白さ、気品は、群さんなど、いろいろな形で伝えられているのだと思います。ホント素敵な方ですネ!

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