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エルニーニョ&ラニーニャ時代に読みたい奥田 英朗氏の「医学博士・衣良部一郎」

エルニーニョ&ラニーニャ時代に読みたい奥田 英朗氏の「医学博士・衣良部一郎」

2年前、2014年2月14日のバレンタインデーは「平成26年豪雪」と呼ばれる、

歴史的大雪となり、
1621742_10152251098269709_1881785847_n_1富士山を望む甲府盆地では過去最深積雪量となりました。

平成26年豪雪

2014年(平成26年)2月に日本で発生した雪害(豪雪)である。

14日夕方から15日朝にかけては特に甲信地方の山梨県で記録的な大雪となり、甲府市(1894年観測開始)で114cm、河口湖(1933年観測開始)でも143cmといずれもそれまでの過去最深積雪を大幅に塗り替える積雪を記録した。

wikipedia

幸いにも、今年のバレンタインデーは真逆なお天気となり、

2月7日の清里は、まだまだ残っていた雪が、
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1週間後の2月14日はこんな状態で、
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2月13日、関東では「春一番」が吹き、
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標高1300mの清里でさえ、朝晩7度前後の暖かさで、

夜に雨が降ったところに、日差しが出て来てくると、
DSC_6254どんどん雪が溶けていきます。DSC_6253

2月のお楽しみ、恒例の「寒いほどお得フェア」は、

IMG_1824朝10時の気温が低ければ低い程、割引されるのですが、

-5℃以下=50%引き
-5℃~0℃以下=30%引き
0℃~+5℃以下=10%引き
+5℃よりも高いと・・=割引なし0%

寒いほどお得フェア

バレンタインデーは残念賞でした!
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正直、「お得」より暖かい冬の方がイイですが、

翌日2月15日は小春日和から一転、八王子でも雪が降る寒さで、日本全国、気温のアップダウンが大きくなっています。

又、世界的には日本の裏側オーストラリアで、ナント47度にもなり、
australia-47南半球は今夏ですが、いくらなんでも熱過ぎです。

こういった「異常気象」の原因について、「エル・ニーニョ」というのがよく言われますが、

気象庁によれば「ラニーニャ」というのがありまして、

何だか舌を噛みそうな美味しそうな名ですが、
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要するに、ペルー沖の太平洋の海域の海水温度が高いか低いかというだけの違いです。

エルニーニョ/ラニーニャ現象とは

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年程度続く現象です。

逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれています。

ひとたびエルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生すると、日本を含め世界中で異常な天候が起こると考えられています。

気象庁

で、2016年は「夏まではエル・ニーニョで異常気象」で、「夏からはラニーニャで異常気象」の予測だそうです。

こういった気象のアップダウンが、気性の変動ともリンクしているのか、最近、まるでエステサロンにでも行くように気軽に「心療内科」や「神経科」に行く人がいると聞きますが、

薬漬けになる前に、まず、奥田英明氏の小説「医学博士・衣良部一郎」シリーズを読んでみるのもお薦めです。

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奥田英朗

岐阜県岐阜市出身。岐阜市立金華小学校、岐阜県立岐山高等学校卒業。プランナー、コピーライター、構成作家を経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。新人賞経由ではなく、出版社への持ち込みでのデビューだった。

wikipedia

初めて読んだ奥田作品ですが、

エステサロンな神経症レベルなら、読んでるだけで治ってしまうのではないかと思われる面白さで、久々に「小説」の力を実感しました。

神経症と精神病の違いは、神経症はどんなに異常に見える行動でも、あくまで「普通な人」の延長線上にあるので、案外、コロリと治ってしまうことがあるのですが、そういった患者達の姿がリアルに描かれてます。

患者はリアルでも、主人公の「医学博士・衣良部一郎」のような医者が本当にいるかは「?」です。

例えば「確認行為の習慣化」、すなわち強迫神経症に陥ったルポライターの初診のシーン・・

いいのか、この病院で?

義雄の中で不安が募る。けれど、来てしまったものは仕方ない。義雄は気を取り直し、これまでの状況を説明することにした。

対話は商売道具だ。筋道を立て、言葉を選び、理路整然と自分の症状を訴えた。自分でもうまく説明できたと思った。

「岩村さん、すごいね」伊良部が感心した。「わかってて狂うっていうのは珍しいんだよ」

「狂うって、先生・・」その言い方にはさすがにむっとした。「わたしはカウンセリングを希望しているんですけどね」

医学書によると、不安神経症と異なり薬物療法は困難とのことだった。専門医の元で精神療法を行うのが一般的とされている。

「カウンセリング?」伊良部が鼻の頭に皺を寄せ、さもいやそうに言った。「無駄だって。そういうの」

「無駄?」

「生い立ちがどうだとか、性格がどうだとか、そういうやつでしょ。生い立ちも性格も治らないんだから、聞いてもしょうがないじゃん」

「そんな・・・」義雄は絶句した。精神科医にかかるのは生まれて初めてだが、こんなことがあってもいいのだろうか。

「それとも、なんか告白したいことある?」

「いいえ」

「だったら、いいじゃん」伊良部がソファに深くもたれ、短い脚を無理に組む。・・・・

「気にしちゃいけないって思うこと自体が気にしていることで、どうせ堂々巡りなのよ」衣良部は両手を頭のうしろに組み、笑っていた。

こちらの書からの抜粋ですが、

短い描写で、読み手がメージ出来るテクニックは奥田氏が元コピーライターだったからでしょうか。

それにしても奥田氏は、ロシアの元量子物理学者、ヴァジム・ゼランドが主張する「生き物にとって最も必要なもの」を理解しているように思えます。

生き物にとって何が最も必要なものであろうか。自衛本能だろうか。固定観念によればそうなってるが、正しい答えではない。たぶん繁殖への欲求」だろうかって?それも違う。それでは正解は何だろうか。

最も重要な欲求とは、この自分の人生をある程度は自分の意のままにしたい、ということなのだ。

これこそがあらゆる生き物の行動の根底に横たわっている欠く事のできない原理である。自己保存や繁殖といった本能を含む残のすべては、この原理の結果として存在している。

言い換えると、いかなる生き物であっても、その人生の目的と意味は、リアリティの操縦にある、ということになる。

だが、もし周囲の世界が自分と関係なく存在し、まったく好き勝手にふるまい、時には敵対的でさえあるならば、リアリティの操縦など不可能だ。

食べ物の一部を横取りしよう。居心地のよい場所から追い出そう。あるいは、あなた自身を取って喰おうとする輩は、いつあらわれてもおかしくない。人生を楽しむ気にはなれず、人生は偶然に起きるものであって、それをどうしようもないというのでは、なんとも悔しく、また恐ろしくさえある。

そこで、取り巻く世界を自分でコントロールすることが切実な願いとなったり、また時には無意識の欲求となったりするのだ。

気象も含め「この世界は自分の思い通りにならない」という漠然とした不安感から、

「ちゃんとコントロールしなきゃ」がエスカレートするのが「強迫神経症」で、頭のイイ真面目な人ほど陥りやすいと言われていますが、

コントロールしたいと思えば思うほど、「リアリティの操縦」が不可能となり、神経症的になります。

「リアリティの操縦」に一番大切なことは、まず「重要性の調整」だとゼランド氏は言います。

重要性の調整

何であろうと重要な意義を過度に付与してはいけない。あなたによる重要性の付与は、あなたにとってではなく、振り子にとって必要なのである。

振り子は、重要性の糸を使って、人間を操り人形のようにコントロールする。

しかし、人間は重要性の糸を手放すことを恐れる。なぜなら、心の拠り所や自信という幻想を醸し出す依存関係の影響下に置かれているからである。

奥田作品の「医学博士・衣良部一郎」はこの「重要性の調整」の達人で、ハチャメチャな面白い行動で「重要性の罠」に陥っている患者を脱出させるのです。

「このオレ様が・・」という内的重要性と、「これは非常に大事な仕事だ・・」という外的重要性を手放しちゃうと、

内的重要性・・自分は重要人物だ
外的重要性・・この問題は極めて重要だ

ほとんどの問題は、自然に解決してしまうとゼランド氏は断言してますが、

デブで大金持ち、マザコンキャラの衣良部医師は重要性を手放す名人なのです。
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「今、世界はエル・ニーニョ現象で・・」といった宗教勧誘的な振り子に揺らされず、「今を生きる」見本のような衣良部医師は、読むだけでカウンセリング効果ありそうですよ!

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COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 2 )
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  1. 最後の写真は実写版ですか?
    これは観てないけど、イメージが。。。
    http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-a4-c0/debu_b2/folder/1612227/44/53273544/img_7?1389705543
    わたしとしてはコッチな感じ↑かなと。

    あとインザプールから読んだからか、空中ブランコの女流作家の巻での最後のマユミには納得できない違和感を感じたりはしました。

  2. <最後の写真は実写版ですか?>

    スミマセン、拾っただけなんで「?」ですが、ご紹介の方がイメージ合いますね。小林亜星さんなんかもイイけど。もう83歳ですネ。

    <女流作家の巻での最後のマユミには納得できない違和感>

    たしかにあの女流作家がどんなに本気で書いても・・で、そんなヤワな女じゃナイですよね。

    今、町長選挙読んでますが、全体にホーキンズ博士的な協調路線ではありますネ。

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