酵素カフェ

覚醒した精神科の歴史的概要②

覚醒した精神科の歴史的概要②

わたしのもとには世界各国から患者がやってきました。なかには、最も絶望的な患者もいました。はるかに遠くの病院から、移送用のシートにぐるぐる巻きにされた患者がグロテスクに身悶えしながら担ぎ込まれてきました。

彼らは進行型の精神病や、末期的で治療不可能と思われる精神疾患の治療のためにやってきたのです。数年間口をきいていない緊張型統合失調症の患者もいました。けれども、どんな患者の中にも、その変わり果てた姿の背後に、輝く愛と美の本質が横たわっていました。おそらく通常の視覚にはその本質があまりに覆い隠されて見えなかったせいで、この世ではまったく愛されざるべき存在となってしまったのです。

ある日、拘束服を着た、口のきけない緊張型の患者が病院に運ばれてきました。彼女は重度の神経障害も患っていたので、立つこともできませんでした。床の上でのたうち回り、けいれんを起こして目をむいてしまいました。彼女の髪はかき乱れ、服も破れ、のどから奇妙な音を発していました。両親が比較的裕福だったため、彼女は世界中の数えきれないほどの医師や著名な専門医の診療を受けましたが、どんな治療も功を奏さず、絶望的な病状としてさじを投げられていました。

彼女を見ると、わたしの中にふと短い、非言語的な問いが生じました。「神よ、わたしが彼女に対して何をすることを望んでいるのですか?」。すると、彼女はただ愛されたいだけだということがわかりましたーただ、それだけでした。彼女の内なる自己が瞳から輝き出したかと思うと、愛情に満ちあふれる「臨在」と彼女の「自己」が交流し始めました。その瞬間、彼女は癒されたのです。自らの本性に目覚めることで、癒しが起ったのです。心と身体に起ったことに、もはや彼女はわずらわされることはありませんでした。

同じ現象が数えきれない患者の間で起りました。公衆の面前で回復した患者もいれば、回復しない患者もいましたが、臨床的に回復したかどうかはもはや彼らにとって重要なことではありませんでした。彼らの内的な苦悶に終止符が打たれたのです。愛されている実感を得られ、内面に平和を感じたときに、苦痛は消滅したのです。(中略)

すべての痛みや苦しみはひとえに自我から生じるのであって、神からではないことはあきらかです。この真理は、無言のうちに、患者の心に伝えられました。同じように心の障害物によって数年間口をきいていない別の緊張病の患者がいました。その患者の心にも、「自己」が直接語りかけました。「自我があなたにしてきたことに対して、あなたは神を非難しているのではありませんか?」。すると彼は床に飛び降りて、突如話し始めたのです。一部始終を目撃したナースの衝撃は非常に大きなものでした。

診療の仕事はどんどん増えていき、最終的に収拾のつかない状態にまで膨れ上がりました。患者を収容するために病棟を増設したにもかかわらず、空きのベッドを末患者であふれかえってました。一度に一人の苦しみにしか対応できないのが、わたし自身の大きなストレスになっていました。まるで大海から水をすくっているかのようでした。そうしたなかで、絶え間なく生じる人類の霊的な痛みや苦しみには共通の原因があり、それを別の方法で伝えられるに違いないないと思い始めていました。そして、そのことがキネシオロジーの研究につながり、驚くような発見をもたらしたのです。(続く)

ディヴィッド・R・ホーキンズ著 <わたし>真実と主観性
はじめに より抜粋

ホーキンズ博士について

意識のマップについて

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で







LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

COMMENT ON FACEBOOK