遡れば2023年3月、冥王星は約16年ぶりに星座を移動、山羊座から水瓶座への大移動を行いました。水瓶座は「風」エレメントを持つ星座であり、この冥王星の大移動は「風の時代」の本格的な始まりを告げる象徴的なできごとになったのです。古い時代の価値観が終わりを迎え、自由や平等、繋がりを大切にする新しい世界が静かに動き出したのです。冥王星はこれから2044年まで水瓶座に滞在し、トータル約21年をかけてこの時代の深層を静かに、しかし、確実に変容していくことになります。

冥王星は、「破壊と再生」の星です。それは、なにかを終わらせることでしか始められない新しい世界を象徴します。サナギが蝶になるとき、その殻を破らねばならないように、あるいは、火のなかから蘇る不死鳥のように、一度は「終わり」を受け入れることでしか見えない新たな景色があるのです。そして、いま、冥王星がもたらしている「破壊と再生」とは、まさに古い時代を終わらせることで、これからの「風の時代」の価値観を広げていくということなのです。

ただ、時代の大きな転換には時間が必要です。冥王星は水瓶座に入った後も二度の逆行を通じて山羊座へ戻ることで、過去と未来を繋ぐ調整を行ってきました。そして、2024年11月、ようやく完全に水瓶座へと定着し、もはや過去には戻らないと決めたのです。

だからこそ、今回の逆行はこれまでとは異なります。

私たちはすでに、「これまでの当たり前」が通じない新しい時代に生き始めています。5月5日からの冥王星逆行期間は、すでに始まった「風の時代」に、あなた自身が合わせていくための時間といえます。世界は、現在、かつてない速さで価値観が入れ替わり、古いものが終わり、新しい繋がりが生まれています。その激しい変化に適応するために、あなた自身の「破壊と再生」も求められているのです。この冥王星逆行の約五ヶ月間は、その調整を行う大切な時間と言えます。なにを終わらせ、なにを新たに始めていくのかを問われる局面も多くなりそうです。そして、この逆行が終わる10月14日まであなたがどんな時間を過ごしたかによって、「風の時代」を生きるあなた自身の姿が、少しずつ形になり始めるはずです。

水星や金星など地球に近い天体の逆行ほど、その影響は身近で自覚しやすいのですが、冥王星は地球から最も遠い星、かつ進行速度も遅いことから、その影響は感じにくいもの。冥王星が逆行するとどんな影響があるのでしょうか。

冥王星は「破壊と復活」「all or nothing（全か無か）」といった両極を司り、たとえば時代にそぐわないものを一度壊し、新たに再生させるといった役割を持っています。

私たち個人のレベルに落とし込むと、「別人になる」といっても過言ではないほど、大きな変化を促すエネルギーを与えてくれます。それはまさに、生まれ変わるほどの「大きな変容」とも言えます。

長らく闇に葬られていたものが突如復活して物議をかもしたり、沈静化していた症状がぶり返すことも。

「変容」「再生」「潜在意識」を司る冥王星の逆行は、「生まれ変わるべき時」「自己改革」を意味しているのです。

私たちの心の奥深くに眠るトラウマや過去のしがらみを無理やり引きずり出し、否応なく向き合わせます。言うなれば「膿出し」。これらと向き合うことは、ともすれば辛い現実に直面し痛みを伴うことかもしれません。しかし、「過去の呪縛を断ち切る」最大のチャンスとも言えます。

2025年の冥王星逆行は、「運の入り口アセンダント（ASC）」を封じる配置で起こり、例年に比べて大きく、根深い影響をもたらします。

急に将来の不安が押し寄せ、気持ちが沈む
なぜか重要な仕事や人間関係がうまくいかなくなる
収入が増えるどころか、支出が増えてお金の不安が強くなる
このように、まるで運命の扉が重く閉ざされるかのような「停滞の迷宮」を生み出す可能性があります。潜在意識レベルでネガティブな方向へ引っ張られてしまい、何もかもが停滞し、運が遠のいてしまうのです。さらに、6月10日に幕を開ける蟹座木星期がもたらす「ご縁」も、つかむ前に消えてしまう可能性もはらんでいます。

こんな方は特に注意が必要